[トップに戻る] [BBSトップ] [使い方] [ワード検索]
395.5MHz CW 130Wと書いてある、TDKの古いサーキュレータをもらいました(サーキュレータに終端抵抗が付いたらアイソレータになる)。この周波数でこの耐電力というサーキュレータはなかなか入手できないので、ジャンクとしてはちょっと魅力的なものです。うまく調整が取れている場合は、1→2→3→1・・の方向で同じようにどの端子にダミーをつないでも、逆向きにはアイソレータとして動作します。同様の話題を掲示板のNo. 1222〜1225で描いています(現在の表示で24段に相当)。今回も周波数の調整を試みることにします。
タイトルが英文でスパム扱いになりましたので変更します。もともとの最適周波数をアマチュア用に変更するには、外部から永久磁石を貼り付けてやると、うまくいく場合があります。経験的には周波数を上げるほうが、下げるよりも簡単なように思います。マイクロ波帯用でジャンクがたくさんある場合など、同じものを重ねてやると磁石どうしが作用して同じように周波数調整ができるのですが、今回は1個しかないので、永久磁石を使います。写真の右下にある、四角い金属がそれです。ネオジウム磁石なのでしょうか、ものすごく強力で、取り扱い中に指の腹をバチンとはさんで血豆ができるという痛い思いをしました。これを銘版のうえに貼り付けて、測定値を見ながら若干調整してやります。
アイソレーションは、用途にもよりますが、送信用でも受信用でも、まあ20dBあれば充分かと思います。GGアンプの回り込み(アンプ出力から入力・エキサイタ側へのリバース・トランジション)で、特に半導体エキサイタが発振するのを阻止する用途などでは10dBで充分かも知れません。
耐電力130Wという、サーキュレータ内部を見たくなりました。丸い部分がもともと入っている永久磁石です。各ポートの特性を調整するために、永久磁石の向きを回転させるような構造が見えます。
中央にあるサーキュレータ素子の各端子に、チタンコンデンサのような形状のものが付いています。1個は同軸コネクタへ、もう一個は端子をアースにシャントしています。TDKの文字が見えるこの部品、型番から推測すると、30pFと50pFのコンデンサなのか、と思いましたが、そうではないのかもしれません。キャパシタンスを変えて周波数変更を試みたのですが、うまく行きませんでした。掲示板No.1223の写真のように、インダクタンスもこの素子の中に入っているのかもしれません。
> 395.5MHz CW 130W内部の高圧チタンコンデンサのような部品のリード線を短く切って、最適周波数が高くなるかやってみたところ、アイソレーション最大は400MHzになりました。しかし432MHzまでは届きそうもありません。
四角い永久磁石をサーキュレータ部分に貼り付けてみました。最適周波数は430−432MHz付近となり、アイソレーションは10dBくらい取れました。しかしよくみると、磁石を貼り付ける前でもこの周波数でのアイソレーションは10dBくらいあるので、この磁石による周波数変更は意味がありません。磁石を近づけていって貼り付けるまでのカーブの変化を見ていると、今回使用したネオジム強力磁石の磁力が強すぎるのかもしれません。なにかスペーサを挿入するか、もう少し弱い磁石のほうがいいのかも?
>四角い永久磁石をサーキュレータ部分に貼り付けてみました。こんな感じです。磁石の取り付け位置や向きにより、カーブは変化します。
もの珍しさで進行波管(TWT)をいじってみました。もとは14GHz帯にあった衛星アップリンク用送信機です。バンドパスフィルタやローパスフィルタ、アイソレータなど、もとの周波数特性のために使えない導波管部品は取り外しました。かわって10GHzに使えるものを探して取り付けます。
> バンドパスフィルタやローパスフィルタ、アイソレータ10GHzに使えるものを探しますが、ものによってはそう簡単ではありません。まず導波管サイズが違います。14G用はWR-75、10G用はWR-90なので、うまく接続するには工夫が要ります。 右手のU字導波管部分がTWT出力端子です。本来TWTは広帯域増幅用の電子管ですが、TWT内部の出力回路は本来の用途の周波数14Gに最適化されているため、外部から、電気的1/4波長の間隔で立てた3mmネジ3本でインピーダンスマッチング(周波数チューニング)を取ります。これにより、TWT利得で2倍、最大出力でも2倍くらい、パワーがよく出るようになります。グレーの部分は10G用アイソレータです。導波管はWRJ-10(日本規格、WR-90相当)なので、サイズが違います。が、そこはうまい接合方法があり、大丈夫です。アイソレータのわきに出ている黒いものは導波管ダミーロードです。反射して戻った出力をアイソレータで分離して、ダミーに消費させます。 その先、左にある青いのは14Gで使用されていたLPFです。いくつか手持ちのなかから、10GでもSWRが低いものを選んでみました。さらにLPF入出力の両方で3端子チューナーを使ってインピーダンス補正をかけています。10G帯ではLPFそのもののSWRは2くらいあるので若干の挿入ロスが生じますが、回路のSWRはこれで充分補正可能です。その先についているHPの導波管は、WR75/WR-90変換アダプタです。内部はちょうど電気的1/4波長の長さで中間のサイズになっている、Qマッチのようなものです。この変換には、テーパ導波管を使ってもいいでしょう。
> 電気的1/4波長の間隔で立てた3mmネジ3本でインピーダンスマッチングこの導波管 WR-75では10.45GHzの管内波長から計算して、11mm間隔になります。もっと太いWR-90では管内波長はやや短くなり、9.22mm間隔です。導波管内部では、いずれにしても自由空間の波長より長くなります。つまり自由空間よりも電波の伝搬速度は速いというわけです。1/4波長のスタブチューナーでは、たいていその3本のうちどれかがヒットして、あらかたのインピーダンスマッチが取れます。残り2本で若干の補正を加えますが、あまり効果ない場合は少なくありません。どのネジが有効か、事前にわかりませんので、縁起を担いで、とりあえず3本です。なおこの例では、導波管に直接ネジのタップを切りましたが、薄くて柔らかい管壁ではタップの強度が充分でない場合がありますので、手を抜かずに3mmくらいの真鍮か銅板を貼ってからタップを切るなり、ナットをはんだ付けするなりして補強してやったほうが信頼度は高くなります。すなわち、ネジがぐらつくのは、回路インピーダンスが乱れることを意味します。
> アイソレータなど、もとの周波数特性のために使えないおそらくNTTマイクロ波地上回線の部品でしょうか、システム廃止とともに多数のジャンクが放出されました。もとの使用電力は1Wくらいのものかもしれないのですが、NTTの出物はお金をかけて作ってあって、「ものは良い」ので、見つけたら回収しておきましょう。グレーのアルミ・ダイキャスト製のアイソレータがそれです。先の細いマイナス・ドライバで調整ネジを回せますが、11G用なので特に調整をしなくてもロスは目立ちません。プロ用ハイパワーアンプに使用されるアイソレータやフィルタには放熱フィンが付いているのが普通です。もし発熱が大きい時はアルミのフィンなど取り付けるほうがいいかもしれませんが、これまでの実験ではそう発熱している様子はありませんでした。
> アイソレータこれがハイパワー用だと私は思っていたのですが、かまぼこ型をした馬蹄形永久磁石を用いた導波管アイソレータです。尊敬する成澤OMにハムフェアでお会いして伺ったところ、これは、近年のようなフェライトを使用していいアイソレータが作れなかったころの古いもので、内部の抵抗体はそんなにハイパワーに耐えないのではないか、とコメントをいただきました。内部をのぞいてみると、導波管の壁面に抵抗体が接着してあり、磁石の磁力線によるファラデー回転を利用して逆方向の電磁波を吸収するのですが、たしかに、導波管内部の抵抗体は、か細いものしか入っていませんでした。
> バンドパスフィルタ今回は取り付けませんが、WRJ-10導波管バンドパスフィルタです。もとは11GHz付近の製品で何種類か周波数分類があり、そのうちでも10Gに近いもののほうが、調整してみてロスが少なくなります。
> WRJ-10導波管バンドパスフィルタ内部には、すだれ状に格子が並んでいて、共振空間を形成しています。ネジで共振周波数や、段間の結合度を調整します。これでSWRが下がるところも選んでやることで調整終了。
> もとは14GHz帯にあった衛星アップリンク用TH 3759A というトムソン社のTWT、定格出力は300Wです。傍熱型ですからカソードがあります。カソードから放出された電子を、真空管のプレートに相当するコレクタの3.83kVで引き寄せて電子を集めます。途中にあるヘリックスは文字通りコイル状の電極で、その中心を電子が通過します。電子流は高いヘリックス電圧で加速されるときに、ヘリックスに入力される信号で振幅なり周波数で変化を受けます。14Gで使用するときのヘリックス電圧は8.5kVですが、低い周波数の10Gでは若干もっと高い電圧にします。出力効率だけ考慮すると、8.55kV〜8.6kVでいいようですが、本来は直線性や位相特性も気にするところです。電圧をかける順番は決まっています。まずヒーター、数分温めます。ファンもまわします。それからコレクタ電圧、そのつぎにヘリックス電圧をかけます。規定のコレクタ電圧がかかっていないとき(低すぎてもダメ)、ヘリックスに電圧を投じると、ヘリックス電流が異常な流れ方をしてTWTを一瞬にして破損します。電源を切るときはこの逆にOFFしていきます。浮遊容量でチャージされる高圧のことも考慮にいれる必要がありますので、ちょっと面倒でアタマを使います。なおスタンバイ状態にするには、ヘリックスのみ電断すればいいのですが、それでも出力側にはTWT由来のノイズが相当出てきます。このノイズ発生はTWTの高圧をすべてOFFにしないと止まりませんので厄介です。
> 進行波管(TWT)ドライブ信号がないときでも、高圧がかかっているTWTには規定電流が流れ続けますので、このTH 3759Aでは900Wくらい、常に発熱してきます。が、信号があるときでもコレクタ電流は変化せず、若干ヘリックス電流が増加する程度です。その熱を逃すために、8mmくらいの分厚い銅板にTWTを載せて、銅で作られたフィンに強制通風して冷却します。TWTのなかでも高い効率を誇るこの管球ですら電力効率は30%もありません。地上用すなわち衛星地球局用なので電力は賄えるとしても、衛星側に載せるものでは、TWTは大飯食いなので大変です。しかし本来、TWTは増幅利得が50dBを超える非常に高ゲインですから、ドライブ電力はわずか1mWかそこらで済みます。入力側には必ず可変アッテネータを挿入して、ドライブ信号をしぼります。
> ヘリックスは文字通りコイル状の電極で TWTの内部がどうなっているのか、アマチュア無線家には馴染みがありません。Varianのガイダンスに掲載されている図を見ると、入力の同軸の芯からヘリックスがつながっているのがわかります。ヘリックスの先の方は、この図では導波管内部に出てくるプローブに接続されています。同軸型出力であれば、これは同軸の芯に出てくるのでしょう。ヘリックス電圧をどのように印加するのか、この図ではわかりませんが、実際はヘリックス電極(とされる端子、またはリード線)とTWT本体のアース側の間に加えます。カソード、すなわち電子銃の近傍に、図のTWTでは、もうひとつ電極がありますが、手元のTWTにはありません。ヘリックスの外周には、ドーナツ型の永久磁石がたくさん並んでいて、これで電子ビームを集束さつつ、コレクタまで到達させます。外部から別の永久磁石を取り付けて、たとえば14GHz用を24GHzで用いるときなど定格外の周波数で、より効率よく出力させてやる方法がアマチュア間では知られています。が、ヘタをするとTWTを壊すおそれもありそうです。
>ヘリックスの先の方 ちなみに手元の TH3759Aでは、入力SMA〜アース間の直流抵抗値は9.0Ωです。導波管出力の内部をのぞいてみました。銅色にかがやいていて、とてもきれいです。コマのように見えるのが出力プローブです。どうやら出力プローブの先端は、導波管トランスジューサのようにモノポールが立っているのではなく、導波管内の上がわの管壁にアースされるようです。その部分が導波管内部で反射して、コマのように見えるわけです。
> TWTは増幅利得が50dBを超える 本来が広帯域増幅用の電子管であるTWTをドライブするには、ピュアリティが高いトランスバータは必須です。局部発振の信号やIF信号が、じゃじゃ漏れで出てくるようなものは、当然ご法度です。TWTやそのほかの増幅デバイスをもちいて大電力を得るとき、きちんと動作しているのかどうかを知るためには、出力電力のモニターだけではいけません。スペクトラム・アナライザを使って出力スペクトラムがピュアかどうか、見ておくことが望まれます。異常発振など起こしているとき、電力メータで見ると出力がたくさん出ているかのように見えるからです。しかし、10GHz帯が見られるスペ・アナをもっていらっしゃる裕福なアマチュアはそういないのかもしれません。そこで登場するのが、衛星受信コンバータに使用される、DRO発振器を利用したコンバータです。写真は、成澤OMが発表・配布された、局発周波数11.99GHz付近のDROコンバータです。10.45GHzを入れると、逆ヘテロダインで1GHz台のスペ・アナで出力スペクトラムが観測できます。信号入力 1mWくらいまで直線性があるので、通常のスペ・アナ観測では充分なダイナミックレンジが得られます。おまけにこれは、DROの高調波を利用して、24Gと47Gも低い周波数のスペ・アナで見てしまおうという、優れもの。電源は12Vの安定なものが必要です。発熱のため、時間とともに若干、周波数が変動しますが、周波数測定以外の測定用途では何ら問題はないでしょう。
> 10.45GHzを入れるとTWTをドライブする信号源として使用できる、10GHz帯DRO発振器です。秋葉原のジャンク屋・細井さん(すでにSK)から¥3kくらいで購入。便利な信号源として重宝しています。周波数調整ネジを回すと、周波数が50MHz毎に変化してロックされます。ロックがはずれていると、出力信号のスペクトラムが乱れて占有周波数帯幅が広がります(上記のコンバータで観測)。出力ポートが2つあり、各々10mWくらい出てきます。
> 10GHz帯DRO発振器10.450GHzに合わせてみました。ウォーミングアップが不十分なせいか、数百Hz変動します。が、10GHz台でこれなら、まあいいか、というところ。上記のDROコンバータの局発は、十数kHzほど初期変動します。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72 | 73 | 74 | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 | 105 | 106 | 107 | 108 | 109 | 110 | 111 | 112 | 113 | 114 | 115 | 116 | 117 | 118 | 119 | 120 | 121 | 122 | 123 | 124 | 125 |
このプログラムは KENT 氏の yybbs を xoops(PHP) に移植したものです - KENT -