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DRAKE R4C 受信機投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/10/17(Fri) 20:33 No.1226  
DRAKE R4C 受信機をご存知でしょうか。

真空管の優れたダイナミックレンジ特性と半導体PTO発振器などの良さをうまく組み合わせたハイブリッド機。

1960年代末から1970年代を代表する名受信機です。



Re: DRAKE R4C 受信機投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/10/17(Fri) 20:46 No.1227  

> DRAKE R4C 受信機

この受信機には大きく分類して2つのモデルがあります。
両者の違いは、第2ミキサおよび第一IF増幅回路の違いと、装着できるCWフィルタの数の違いです。

初期モデルでは第2ミキサにデュアルゲートFETを使用し、第一IFアンプを真空管でまかなっていましたが、この構成では隣接する強力な信号による相互変調(いわゆる混変調)に弱く、ほどなく真空管によるミキサとFETによるIFアンプが採用されます。

CWフィルタは前期モデルでは2個、後期モデルでは3個まで挿入可能です。
挿入できるフィルタは必ずしもCW用のみではなく、DRAKE純正のSSBナロー用/RTTY用1.5kHzフィルタを装着したものも見かけます。

さらに後期モデルは使用真空管の違いで2つのバージョンがあります。この写真はそのうちの後者、すなわちR4C受信機の最後のバージョンです。



Re: DRAKE R4C 受信機投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/10/17(Fri) 21:42 No.1228  

> DRAKE R4C 受信機

いずれのモデル、バージョンもいわゆるHFの古典5バンドのほかに、IF関連周波数を除いて1.5MHzから30MHzまでの任意の周波数を受信可能です。

そのためにはオプションで目的周波数の600kHz幅(目的周波数—100kHzから+500kHzまで)を受信するための水晶発振子を挿入します。
挿入ポジションは15chあり、好みの位置に好みの周波数用HC−6/U水晶をさすことで受信ができるようになります。

水晶の発振周波数Fxo(MHz)は、
  Fxo=目的周波数の下側(MHz)+11.1(MHz)
で求めます。

そしてそれぞれの適合するバンドスイッチ位置に設定してプリセレクタ同調つまみで受信感度の最大点を求めます。



Re: DRAKE R4C 受信機投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/11/01(Sat) 16:44 No.1229  

> DRAKE R4C 受信機

> 初期モデルでは第2ミキサにデュアルゲートFETを使用し、第一IFアンプを真空管でまかなっていましたが、

初期モデルの回路図です。回路構成は正しくは、
・まず6HS6による第一ミクサのあと、真空管6BA6による第一IFアンプ
・そのあと第2ミキサにデュアルゲートFET SFC4982を使用

となりますので、訂正します。

> この構成では隣接する強力な信号による相互変調(いわゆる混変調)に弱く、

これが、どれくらい弱かったか? 

アマチュア的な比較をするなら、1970年半ば当時に発売されて爆発的な人気を誇った、真空管とトランジスタのハイブリッド機種である TRIO TS-520 のほうがずっと性能が良かった、と書けばおわかりになるでしょうか。

そのころ、ときどき40mバンドに出ていましたが、200mほど離れたところで、TS-520を使用しているローカル局が出てくると、私のR4Cは相互変調(感度抑圧)を受けてまったく受信できなくなりました。ローカルのところでは何も問題なかったようです。私がCWバンド、彼がSSBバンドにいてもこの問題は発生したものでした。

当初はそういう事態になっているとは信じ難く、ローカル局がスプラッタをまき散らしているのか、と疑ったのですが、そうではなく、明らかにR4Cの感度抑圧でした。

同様の現象は20mでも起こりました。
ローカル局は電話級だったのでこのバンドには出てきませんでしたが、特にバンド中がたくさんの局でにぎわったDXコンテストの日には、強力なDXコンテスターの信号で、やはり感度抑圧や相互変調が発生しました。



Re: DRAKE R4C 受信機投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/11/01(Sat) 17:40 No.1230  

> DRAKE R4C 受信機

私がこの受信機を入手したのは1976年でした。当時、このモデルは$500くらいで売られていたかと思います。
$1=¥300だったでしょうか、けっこうな高根の花でした。

なぜか理由は忘れたのですが、この受信機やT4XC送信機を輸入販売していた世和興業という商社の担当者のOさんという方と電話で話をすることがありました。この受信機の性能について、とかいろいろお話をきいたのではないかと思います。

そのときに、R4C受信機の中古が大阪無線に出ている、と教えていただき、これをさっそく購入することで憧れの名器を入手できました。1.5kHz幅と250Hz幅のフィルタが装着されていてました。
推測ですが、そのころまでこの受信機をローバンドで使用されていた3エリアの某OM(この少し前にサイレントキーされた方)のものだったのではないか、と思いましたが、確認するすべはありませんでした。

そのご縁で、R4C初期モデルの弱点を解消するにはどうしたら良いか、これも商社の担当者であるOさんに相談したのは言うまでもありません。



Re: DRAKE R4C 受信機投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/11/01(Sat) 17:58 No.1231  

> R4C初期モデルの弱点を解消するにはどうしたら良いか

まず初期モデルと現行の第二モデルの違いを教えていただきました。回路図を示します。

・第一IFアンプは、真空管から FET 2N5950 に変更された
・第二ミクサは、デュアルゲートFETから 真空管6BE6に変更された

それに、第一ミクサの直後に入るクリスタル・フィルタの帯域幅(すそ野)が広すぎるのも、相互変調や感度抑圧を生じる原因になっていることをお聞きしました。
直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 恵比寿次郎 投稿日:2008/08/16(Sat) 18:32 No.1184  
那須次郎様
以前、某誌に書かれた「3CX1200A7アラカルト」には、「電極が少なくクイックスタートで良いことずくめ」と書いてあり、長い間、直熱管はクイックスタートOK、と思っておりましたが、最近、改めて重箱本を拝見しておりますと、3CX1200A7や4CX5000Aなどの球がウォームアップなしでいきなり使えるというようなビギナー的な発想は捨てるべき、とありました。

ご説明には「球全体が暖まるまで」というようなニュアンスで書かれておられまして、納得できなくもないのですが、4CX1000A、8877、GS35bのような傍熱管と違って、直熱管のデータシートにはウォームアップ時間の規定がありません。

3-シリーズは1〜2分以上、1200はやっぱり2分以上は...とありましたが、(故障や寿命が延びたなどの)実例のお話や、ご意見をいただければと思って書きました。

計画中のリニアでは、フィラメントのステップスタートに数秒、高圧のステップスタートに数秒のディレーを掛けて、合計10秒以内で呼べるようにしようと計画しておりましたが、ウォームアップのためのタイマをもう一個追加するか、あるいは緊急性に応じて(いい加減に)すぐ呼べるように省略するか、などと色々楽しんでおります。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/08/19(Tue) 08:44 No.1185  

恵比寿次郎さん、お久しぶりです。

> 以前、某誌に書かれた「3CX1200A7アラカルト」には、「電極が少なくクイックスタートで良いことずくめ」と書いてあり

原典が手許になく、自分で書いたか忘れているのですが、あのシリーズはもうひとかた、執筆されたかたがいた、と思います。渋谷一郎さんだったかと記憶していますが、いかがでしょう。

ともかく、直熱管でも傍熱管でも、フィラメント(ヒーター)電極の損傷は多くの場合、電源投入時に起こるといえます。家庭用の電灯で使用する白熱電球と同じです。特にフィラメントがコイル状あるいは線状の小型〜中型送信管では、電源投入時にフィラメントに流れる大電流で一瞬電極が振動するようです。
教科書的には、電源投入時のフィラメントに流れる最大電流は、定常状態の3倍くらいに抑える、と書いてあります。常温のとき、フィラメントの抵抗値は定常状態(高温、千度を超えるでしょう)の10分の一くらい、と考えられますので、最初にかける電圧は、規定の3分の一くらいがいいのではないでしょうか。

点灯時に、フィラメントがパリパリ、キャラキャラと音を発するのをお聞きになったことがあるかもしれません。フィラメントのみならず、グリッドやスクリーンなどの電極も常温から千度を超えるまでの急激な温度上昇で、きしみます。

その温度まで直熱管では一気に温度が上昇しますから、原理的にはクイックスタートOK、と言っていいのでしょう。しかし、送信管の内部の温度変化に伴う物理的な状態(電極および絶縁封止部分のセラミックやガラスに加わる力)を配慮するなら、ある程度の余熱時間があるほうが安全だ、と思います。

実際に大型管ではそう簡単に故障するものではないでしょうから、実例は挙げることができません。しかし、よく3CX3000を壊した、3-500Zを壊した、とおっしゃるかたの話を聞くと、そういう配慮のない装置である印象です。

表紙の208U-10には、電源投入時にフィラメントをディレーする回路はありませんが、この電源には必要な電流の数倍も流せるトランスは使用していませんので、流れる瞬間最大電流はある程度の範囲内に収まっているのであろう、と想像しています。
さいわい、業務機では一度電源を投入すると、定期点検のときや修理のとき以外に電源を切りませんので、日に何度も電源を入れたり切ったりするアマチュアのように、丁寧なディレー回路を設ける必要性は少ないのだと言えます。

大型直熱管のデータシートにはウォームアップ時間の規定がありませんが、フィラメント投入時のみならず、送信時の電極の温度上昇も考慮すれば、常温の冷たいところから数百度の温度までいきなり運転するよりも、せめてフィラメントで余熱をかけてやったらいかがでしょうか。

温度変化が与える影響は、フィラメントのみではないので、絶縁封止部分や周辺のソケットや部品についても配慮することが必要です。(もっともフィラメントではそこまで、あぶれませんが。)
高い周波数では、サーマル・ドリフトという現象が観察されます。

> 計画中のリニアでは、フィラメントのステップスタートに数秒、高圧のステップスタートに数秒のディレーを掛けて、合計10秒以内で呼べるようにしようと計画しておりましたが、

これは最低必要な配慮でしょう。重要なことです。

このときにフィラメント電圧の変化を見てください。電極の抵抗値が時間とともに変化するのがよくわかると思います。
このとき、定常状態に切りかえる瞬間に電圧がOFFにならない回路を採用してください。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 恵比寿次郎 投稿日:2008/08/19(Tue) 22:15 No.1186  

那須次郎様

某誌の古いファイルを出してみますと、85年5月号から渋谷一郎さんの「連載 リニアアンプの世界」、85年11月に那須次郎さんの「FL-2100B改造記」がありまして、その他にも越前太郎さん、遠州遠三郎さんなど色々な著者がいらっしゃるようでしたが、問題の「3CX1200A7アラカルト」は86年1月号から4月号まで著者名なしで掲載、その後引き続いて5月号に那須次郎さんの「HL-3K観察記」が出たので、読者としては、「アラカルト」も那須次郎さんなのかな、と思っておりました。

さらに、同年8月号には那須次郎さんで「3CX1200A7アラカルト実例編」Part1(2K-4改造記)、Part2(Henry3Kを例にした改造のポイント)の記事が出ています。でもその冒頭で「毎回楽しみにしていた『3CX1200A7アラカルト』、なかなか実例編が出てこないので、嫌な予感がしていたところ、編集部より“やってみよ”とのお達しが来た」とあって、著者が違うというニュアンスがわずかにあります。したがいまして、私の読み違いでしたらお詫び致します。

それまでアマハンやCQ出版と誠文堂新光社のリニア本しか読んでいなかった私にとって、80年代に出たこれらの記事は非常に参考になるもので、その後のリニア製作に大いに役立ちました。

それから直熱管についてのご説明、誠に有難うございました。
私の場合、球の最大定格よりも十分に低い出力ですしフィラメントを点灯してただちにフル規格の送信状態に入るわけでもありませんけれども、屋外用の150Wや250Wなどの照明用のバルブと同様の物が球の中心で点灯しているのだと思えば、やはりラッシュ防止とオフディレーの機能は必要ですね。

リーケージトランスなどはありませんので、HTの一次側にラッシュ防止の数十ΩのRを入れて点灯、その後、ディレーリレーでRを短絡、という方法で実験しておりますが、今のところ、外側の光り具合だけ見て、ある程度は働いていると想像しています。Rの値の決定には電線を挟むタイプのクリップオン電流計が威力を発揮すると聞いておりますが、まだ入手に至っておりません。ラッシュ電流の評価と抑制には非常に重宝するのだそうで、できたら近々、入手したいと思っています。

プレートの排気を熱電対温度計で測定すると、フィラメントのステップスタート解除から10〜15秒くらいで上昇してきますから、呼ぶまでせいぜい30秒くらいあれば良かろう、ということで、ウォームアップのディレーは不要かな、と思っております。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/08/20(Wed) 03:08 No.1187  

> 某誌の古いファイルを出してみますと、85年5月号から渋谷一郎さんの「連載 リニアアンプの世界」、

古い雑誌を大切になさっていらっしゃるのに感心しました。

にわかに思い出しました。実は、あのシリーズを書き始めた方がどなたであったか、私は知りませんでした。恵比寿方面にいらっしゃるプロの方ではないか、と思いましたが、確認しておりません。おっしゃる通りで、実例編の2K-4改造記事は私が書きました。

排気温度を測定してウォーミングアップ状態を知るのは、興味深いですね。確かに、冷却フィンをもつ送信管では熱の放出が効率よく起こるので、真空管の温度状態は排気温度に敏感に反映されます。

動作時の電極温度の測定に赤外線計測温度計や色が変化するテープや塗料を使用する方法がありますが、私は排気温度を手で触診する方法しかやったことがありません!

手の感触はそこそこ敏感ですが、どれくらい熱いか、熱くないか、もっと敏感にわかるのは「顔」ですね。いくら面(つら)の皮が厚くても、手のひらほどは厚くないので。
特に「まぶた」は温度に敏感です。鼻の穴の粘膜なども、訓練次第で温度測定に役立つのかもしれません!
(これは何の根拠もない思い付きですが。)

冗談はさておき、送信管の動作で温度が変化するというのは、送信管にすると有難くない現象です。サーマル・ストレスというのだそうで、熱膨張と冷却による収縮を繰り返すのは送信管の寿命を縮めるというのは、プロの世界では常識のようです。

ゼロバイアス管のAB2級動作のように、信号の強弱でプレートなどの電流が大幅に変化するので温度も変化します。こういう状態は球にとってはストレスなのかもしれません。(が、これは運命で、しかたがない。)

マイクロ波で使用されるTWT(進行波管)は、信号のあるなしにかかわらず、あるいはFMだろうがSSBだろうが信号の変調形式にも関係なく、カソードからのエミッションは一定で、普通の真空管のプレート電流に相当するコレクタ電流が流れっぱなしになります。信号で変化するのは、へリックスというラセン状の電極の電流です。

一本数百万円と大変高価なTWTに加わるサーマル・ストレスを除くために、無信号時や受信状態のときでもコレクタ電流を流したままにするのが、普通の使用方法なのだそうです。

しかしこれだと、無信号でも受信に差し支えるほど強烈なノイズがでてきますので、送受信を同じアンテナでやっているアマチュアのような場合は問題がでてきます。

ウォーミングアップ=与熱(前の書き込みで「余熱」と書いたのは誤りです)に関しては、カソードやフィラメントの全体が均等に高温にならないうちにカソードエミッションを出す(つまり電流を流す)と、高温の部分にエミッションが集中するため、表面の損傷が起こるそうです。カソードの表面には酸化物、フィラメントにはトリウムなどの電子を放出しやすい物質がコーティングされていますから、一部だけが消耗するのはよくないことが理解できます。

まあ送信管の絶縁封止と電極の接合は、新しい真空管では相当丈夫になっていますので、フィラメント点灯から短い時間でいきなりドドッと大電流を流して電極温度を高温にしても、百回やったからダメになる、というものでもないのかもしれませんが、真空管屋さんは、これでどれほど寿命が縮むのかを自前のデーターシートに公表していません。

やらなければどれくらい寿命が延びる、ともデータが手許にありませんので(ただし学会論文など探せばあるはずですが)、あとは、どのようにするかはユーザー本人任せでしょう。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 恵比寿次郎 投稿日:2008/08/22(Fri) 19:30 No.1188  

那須次郎様
傍熱管のカソードの電流集中に関しては昔からよく言われていますね。カソードに温度のむらができて、その状態で電流を流すと、温度の高い部分に電流(エミッション)が集中してホットスポットができ、その部分にさらに集中するので、その部分が痛むから、予熱(与熱)は大切であると。

直熱管のフィラメントは電力の割に熱容量は少ないように思っておりました。あとは球全体の部分的な熱膨張率の違いによる機械的なストレスですね。3CX10000U7とかその類の大きい球でしたら何となく判るような気もするのですが、3-500Zや1200などで何分くらい待つのかな?と思ったのが今回の投稿のきっかけでした。

そういえば表紙のU-10などでは、コールドスタートから実際にドライブを書けて運転できるまで、どのようにシーケンスが組まれているのか、興味津々です。

昨日、バラックでスタート時の球の排気温度を測定してみました。流石に手のひらや顔では気分や周囲温度との差、風速などの余計な誤差要因も入ってしまうので、レッキとした(笑)熱電対を使ったデジタル温度計を使い、一定の場所で測定しています。

スタートは室温(28℃)で、フィラメントと高圧のステップスタートが完了してから約1分で38℃、約2分で45℃、3分半で48℃くらいで安定しました。その後オフにすると約5分間のオフディレーが掛かり、冷却ファンだけ回るのですが、それが切れた直後は31℃でした。

これはある熱源(フィラメント)と、ある熱容量を持つ系を、ある風量のファンで冷却した場合に排気温度が安定するまでの時間、ということなので、これをもって、熱源の隅々まで暖まったと判断するのは正確ではないと思いますが、この場合、2分間というのは、なかなか良い値かな?などと実感しました。

アマチュアの場合、パワーを出している時間は短くても、入れたり切ったりの回数が非常に多いので、ラッシュ防止、オフディレーその他の安全手段を講じて球にストレスを掛けないようにするのが良いのでしょうね。「掌中の玉」や「虎の子」とも言われて一本ン万円もする大事な球なので、一旦使い始めたら、壊さないように大事に使いたいものです。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/08/26(Tue) 02:32 No.1189  

恵比寿次郎さんのご質問から、直熱管はいったいどれくらいのウォーミングアップを必要とするか(したほうがいいのか)、どこかに書いてないかと調べてみました。

しかし、フィラメント電圧を規定の5%以内に収めることや、冷却のコツは詳細かつ丁寧に書いてあるわりに、この件についてのコメントは、今回調べた範囲では、ほとんど参考になりませんでした。

もしかすると、W6SAI著Radio Handbook あたりに記述があるかもしれませんので、お手許にある方はご覧ください。

さて、上記のNo 1185で、
>教科書的には、電源投入時のフィラメントに流れる最大電流は、定常状態の3倍くらいに抑える、と書いてあります。

と書いたのですが、写真のように、3CX1200A7のテクニカルデータには、通常の2倍に抑えるべき、と書かれておりますので、この球についてはそのように訂正させていただきます。

内部を見たことがないのですが、3-1000Zと同等の送信管とされるこの球では、フィラメントはダッシュ管と同じようなスパイラルか、線状の形状ではないかと想像しています。
電圧がかかった瞬間、このフィラメントがブルルンと振動する様子が、あたかも目に見えるようです。

恵比寿次郎さんの上記の実験では、フィラメントのターンオンおよびターンオフともに実験されていますので、両者の温度変化をグラフ化して比較すると面白いのではないかと思います。

オフディレー回路が停止した時点で、最初の室温までは排気温度が冷えないのですね・・・



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/08/26(Tue) 02:56 No.1190  

直熱管のフィラメントのターン・オン後、ウォーミングアップに要する時間ですが、

> 2分間というのは、なかなか良い値かな?などと実感

恵比寿次郎さんの今回の温度測定実験では、実にうまい結論が得られたのではないかと思います。
しかしこの、およそ2分という時間は、けっして完璧なウォーミングアップ完了の時間ではないはずです。
(と私は思います。)

さて写真は、傍熱管ですが 4CX1500B のテクニカルデータに記載された一文です。

カタログデータで推奨される高圧をかけるまでのウォーミングアップ時間は3分以上、しかし球の動作が安定するまでには、冷えた状態からは約5分だ、と苦し紛れの弁解を書いています。

これを読みかえるなら、カソード表面は約3分で電子を放出できる最低必要な温度に達する、しかし球全体を見るなら、5分しないと内部電極は温度上昇の最中にある、ということだと、考えられはしないでしょうか。

ヒーターを点灯し始めて3分から5分という、まだ送信管内部が不安定な条件にある時点で、チューニングを取るなり、バイアス設定をする、あるいはそれ以前にとってあったチューニング状態やバイアス設定の状態で、さっさと運用を始める、という考えにいたるアマチュアのみなさんの精神構造を、私は疑いたいですね・・といったところでしょうか。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 恵比寿次郎 投稿日:2008/08/27(Wed) 18:22 No.1191  

那須次郎様
詳細なお返事を有難うございます。最近、ある所でひょっとしたらお会いできるかと思っておりましたが残念でございました。いずれにしましても、永年抱いておりました「直熱管=クイックスタート可能」が「常識」か「誤認」かを解決するには、ヒーター(フィラメント)、各電極、球全体、と熱が行き渡って安定になるまで大きい球ほど時間が掛かる、というご説明で納得できました。誠に有難うございました。

今後は、緊急時を除いて、ウォームアップ時間が規定されていない球でも「紳士のたしなみ」で数分待つ、ということにします(笑)。こうなると、直熱管にこだわる必要もなく、8877でもGS35bでも自由にできそうです。

そういえば、先週末に初めて35bに触りました。思っていたほど大きな球でもなく、価格も25k円とのことだったので買いませんでした。でも、それとは別にリニアに使えそうな部品(ゴミ?)を入手できたものですから、先ほどまでRFデッキを下ろしてしばらく工事をしておりました。その試運転も、この議論の成果で、スイッチオンで10秒経過したらただちに、というわけでもなく、しばらく待ってからバードのダミーロードで動作試験を行っております。

ウォームアップの件ですが、写真でご紹介いただきましたように、ヒーター電圧を印加してから一定の時間が経過するまで、高圧も掛けてはならない、という「掟」がありましたね。4CX250Bなどの小さな球では30秒でしたが、昔は生真面目に、その後に高圧がステップスタートするように作ったものでした。

が、ある日、U*i*nというメーカーの250二本用のトランスを入手したら、ヒーター、ブロックバイアス、スクリーン、プレートの全部の電圧が一度に出るように各巻線があり、説明によれば、全部の電圧を一度に掛けてもOK、ただし、ブロックバイアスを解除して実際に動作させるまでタイマでディレーを掛けろと。250FGなどの26V球を挿すこともあった関係でヒータートランスは別に付けていたので、ヒーター点灯→ディレー→その他の電圧がONというシーケンスは確保しました。

今ふと思ったのですが、それでは4CX1500などの大きな球でも、この掟がある理由は...?

新品の球や中古でもしばらく寝かせておいた球を下ろす時は、ヒーターだけ点灯して約24時間のエージングをして、有害なガスをゲッタに吸着させる、という儀式は存じておりますし、ある球で6時間のエージングで高圧を低減して掛けたら小放電し、24時間では正規の電圧を掛けても大丈夫で実用になったという体験もありますが、日常使用の場合でも、少しでも放電事故の可能性を減らすための「掟」だったのかなぁと想像したりしております。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/08/28(Thu) 02:52 No.1192  

先日の、というと有明のハムフェアであろうかと察しますが、あるいはDXサーかコンテスターの皆さんの集まり? でしょうか。
ハムフェアのほうは店番をしばらくしておりましたが、いつもの落ち着きない性分で、ふらふらと場内をさまよい歩いていましたので、関係者の間でも行方不明者扱いでした!

HFのみなさんの集まり(いろいろ)には近年出たことがありません。ほとんど、知らないひとばかりですので・・・Hi

会場では、数年前なら垂涎の対象であったような、バキュームVCやバリLが安価に出ていました。この際ですから、アンテナチューナーやガンママッチなども、全部真空バリコンにしてしまうのも手だなぁ、と(具体的なあてはないが)思いました。
屋外に設置するアンテナチューナーでは、リレーやVVCなどのバキューム部品を使うのはとても良いと思います。

送信管、たとえばNOSのCetron 811Aなどもありましたが、あまりファンがいないのでしょう、全然売れない様子で、店主ぼやくことしきりでした。(NOS=New old stock,新古品、古い未使用品。 NIB=New in Box,新品箱入り)
コリンズ 30L-1をお持ちの方、Cetron 811Aを買ってやってください!
 
しかし私がこれ以上、世の中の送信管やリサイクル資源を死蔵してもいけませんので、皆さんに買っていただくべく、今回、私は小さい同軸コネクタくらいの小物しか購入しませんでした。

同軸リレーとか、周波数特性(アイソレーション特性)などが問題になるようなパーツは、みなさん良い測定器を持つようになったせいか、安価に出ているようなものは全然ダメなのが多くて、いくつか購入した同軸リレーは、すべて、ハズレでした!


さて、本題。
送信管では、ヒーター点火とともにブロワーを回すのは常識として、私は同時にグリッドに(あるいはカソードで)カットオフバイアスをかけています。これであれば、仮に同時にプレート電圧を同時にかけても、電流を流して壊すことはないでしょう。

TハイやU電のアンプでヒーターと同時に高圧も投入しているとしても、グリッドさえカットオフ領域になるようにしておけば、現実的には、特に心配ないと思います。
(しかしデータシートでは、禁止と書かれていることは、尊重しても損はしないでしょう。)
4CX1500Bでこれをやっても大丈夫かどうか、私は気持ちが悪いのでやったことがありません。

だいたい、無線を運用しようとして(無線機やアンプの調整ではなく、通信です)私がシャックに入ったときは、リグをすべて電源オンにして通電するのが習慣なわけです。
(注、私はときどき何時間か、所有している無線機や測定器類全部の通電をしています。)

近年の半導体リグでは周波数安定度は相当良くなったので、電源投入後、早期に安定するかもしれませんが、やはり冷えていたオーブンが温まるまで、とか(ちょっと古めですが)時間をかけておきたいのもあります。

もちろんパワーアンプも、ウォーミングアップを開始します。直熱管アンプも傍熱管アンプも、まずはヒーター(フィラメント)とブロワーをつけておきます。

すぐパイルアップや目的のDXなどを呼ぶため、というわけではありません。(まあ何分かすれば、それも可能ですし。)

エージングの意味も若干ありますが、その主たる理由は、まずは内部の湿気を飛ばすことです。できるだけ長い時間やっております。

特に夏場の湿度が高いとき、真空管の表面や、高圧関連部品は簡単に結露して、その部分で放電します。夏場のみならず、もちろん冬でも結露は生じます。
高圧電源投入後、パーンと大きな音がした経験が、ないでしょうか。

これは高圧部品に放電跡を残すおそれがあり、大変やっかいです。この部分でしょっちゅう放電を生じるようになります。

比熱が大きい金属部品、つまりアルミよりも鉄などには結露していることが多いのです。電源トランスは、そのいい例です。
この現象は、キャビネットの部分、つまりアルミパネルと鉄製フレームで、結露の状況に違いがあるのがわかると思います。
残念ながら私のシャックは季節によっては湿気の多い環境にありますから、通常はエアコンの除湿をかけていますが、雷雨の多い夏場は、停電することがあるので、自動的に停止してそのままのことが少なくないのです。

その点では、乾燥した場所にシャックを設置しているかたは幸いでしょう。

ということで、これも、いきなり高圧をかけるひとの気がしれない、大きな理由のひとつです。これを実行するようになってからは、一度も高圧回路のトラブルは経験していません。

ところで、

GS35Bをご覧になったそうですが、あまり好感をもたれませんでしたか? これは本来UHF用途の版極管ですから、わざわざHFでお使いになることもないでしょう。

ついでに、手にとったらわかることですが、重量が半端じゃないことに気がつくと思います。
とても同じ陽極損失を有する8877や4CX1500Bと同じだ、と感じるひとはいないでしょう。得てして、多くの業務用送信管は、ものすごく重いものなのです。(Eimacの球が軽すぎるのです!)



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 恵比寿次郎 投稿日:2008/08/28(Thu) 19:06 No.1193  

> 会場では、数年前なら垂涎の対象であったような、バキュームVCやバリLが安価に出ていました。この際ですから、アンテナチューナーやガンママッチなども、全部真空バリコンにしてしまうのも手だなぁ、と(具体的なあてはないが)思いました。

結構ありましたね。安かったので多少買いました。特にロード用に耐圧が低くともコンパクトな物を探していたのですが、ピッタリの物が見つかりホクホクでした。初めて知ったのですが、Jenningsなどは、例えば20-500pF 15kVと書いてあるだけでこれが普通かと思うと、メーカーによっては5-500pF 5kV/3kVなどと書いてある物もありました。つまり一杯に引いた時はギャップが広いので5kV、一杯に入れた時は3kV、というわけです。

さて私の場合、シャックでリニアをONにするのは自分がワッチした結果か、あるいはコンテストへの参加などが大部分ですが、まれには電話などで知らされてあわてて、という場合もあります。
この場合は真っ先にリニアを入れ、ヘッドホンをして周波数を合わせアンテナの向きを調整し...で大体一分くらいは掛かりますし、呼ぶタイミングをはかっているうちに二分くらいは経過するでしょう。でもタイマーで強制的に3分、5分というとかなり長く感じそうです。急ぐ時は10秒でも長く感じますから。

あと結露の件、なるほど。その昔、朝のコンディションのDXを狙うのに、朝6時頃からタイマーを掛けてファンとヒーターだけ掛けてウォームアップを済ませていたという話を聞きました。それはもちろん3分間〜5分間のウォームアップ時間を寝ているうちに済ますためだったでしょう。

高圧の放電はたまにあります。私の場合は結露ではなく、RFデッキの追加の加工工事後に残る金属粉が原因と思います。工事後はクリーナーで吸い、ひっくり返して叩いたりして金属粉をできるだけ取り除きますが、どうしても残るようで、高圧を入れるとチッやパフッなどと、小さな音がする場合があります。
高圧電源には、保護のための直列抵抗が入っていますからこのくらいで済むのですが、もし無かったら大きな放電に発展して放電痕が付いたり、部品が壊れたり、どこかのメーターやダイオードが吹っ飛んだりすることでしょうね。などと今は余裕ですが、ここまで来るには、スタックダイオードやメーターや球など、高い授業料を払っているのは言うまでもありません(笑)。

GS35b、たしかに重かったです。機会があれば、1ダースほど買ってみようかなどと思ったりしておりますが、まあ今いじっているのをもう少し改善してからですね。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 那須次郎 投稿日:2008/09/18(Thu) 01:49 No.1203  

> 熱膨張と冷却による収縮を繰り返すのは送信管の寿命を縮めるというのは、プロの世界では常識のようです。

http://www.g8wrb.org/complete-list.php

の中にあるBurleの資料

Techniques-to-Extend-the-Service-Life-of-High-Power-Vacuum-Tubes

には、フィラメントのオン・オフの繰り返しが送信管の寿命に与える影響について、興味深い詳細な話が書いてあります。お暇なときにお読みください。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: 恵比寿次郎 投稿日:2008/10/02(Thu) 14:30 No.1211  

資料のご紹介、ありがとうございます。

早速読んでみました。例示されているのは何と300Aも流れるフィラメントを持つ球なので驚きました。アマチュアが使うような小さな球にもあてはまるのかなぁという思いもよぎりましたが、リニアの頻繁なON/OFFを避けることができないアマチュアにとって、球の寿命を延ばす上で、フィラメント電圧のディレーティングと通電時のステップスタートが極めて有効と改めてわかりました。



Re: 直熱管のウォームアップタイムについて投稿者: qm06友の会 投稿日:2008/10/05(Sun) 22:54 No.1212  

送信管とは電力が比べ物にはならないですが、
TVのブラウン管のフィラメントも意外と強いんだなと思いましたよ。

電源ON後の画像の立ち上がりを早めるため、ある程度の電圧を
ヒータに加圧していた時代もありましたが、省電力化でそれも少なくなって、フィラメントの温度ストレスも大きくなってます。

ブラウン管最後の砦の医療器具も液晶化が急速に進んでいますし、
こんな話が出来るのも残り僅かの時間ですな。
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このプログラムは KENT 氏の yybbs を xoops(PHP) に移植したものです
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